ポケモンカード(通称:ポケカ)を現金化するなら、まずトレカショップで売ることを思い浮かべる方がほとんどでしょう。
それは、古本屋や中古ゲームショップと同じく、査定から現金化までの流れがシンプルで、馴染みのある選択肢だからです。
ーーでも、少しだけ待ってくださいーー
もし大切なポケカを「売る」以外の方法で現金化できるとしたら、知りたくないですか?
目次
元トレカショップ店員が忘れられない光景
私はトレカショップで約7年間ほど働いていました。
毎日、複数の買取査定をこなす中でも、忘れられない光景があります。
査定カウンターで、明らかに手放したくなさそうな顔をしているお客様や、何度も迷いながら、それでも最終的には売っていくお客様。
本当は売りたくないんだろうなと感じる場面に、何度も立ち会ってきました。
しかし、トレカショップに勤める一店員の立場では、当然お客様のプライベートに踏み込むことはできないため、ただ見守ることしかできませんでした。
特に印象に残っているのは、常連だった20代前半のお客様です。
就職が決まったこと、それにともない都会に引っ越すことは聞いていました。
ある日、ショップでも珍しいレアカードがぎっしり詰まったファイルを持ってきて「就職の準備でいろいろと物入りなんです」と言いながら査定に出されました。
こちらとしては、淡々と査定を進めるしかありません。
お店としては、貴重なカードの数々がコレクターに高値で売れるため歓迎すべきことです。
しかし同じコレクターとして「本当は手放したくない」という気持ちが伝わってきて、何とも言えない気持ちを抱いたものです。
一度売ったカードは、二度と戻ってきません。
あの時、「質屋に預ける」という方法を伝えられていた。
もし「質屋でポケカを預ける」ということが、一般的な選択肢であったなら。
この記事では、その時の経験をもとに、元トレカショップ店員の立場から「質屋でポケカを売る・預けるメリット」を詳しく解説します。
ポケカを現金化するには「売るしかない」と思い込んでいる方に、ぜひ知っておいてほしい選択肢です。
なぜポケモンカードの売却先はトレカショップが主流なのか?
トレカショップは、ポケカの流通量がもっとも多く、査定基準も「人気・相場」にダイレクトに連動しています。
ポケカを買うのも売るのも「第一の選択肢」となる存在であり、現金化を考えたときに真っ先に思い浮かぶのは自然なことです。
- 今のポケカ市場を反映した価格で売れるため、金額の根拠がわかりやすい
- 査定後すぐに現金を受け取れる
試しにスマートフォンで「ポケカ 売る ◯◯(お住まいの地域)」と検索してみてください。
おそらく、表示されるのはほぼすべてトレカショップのはずです。
認知度の高さ、アクセスのしやすさという点でも、ショップでの売却が主流になるのは当然といえます。
ただし、ショップで働いていた頃によく見かけたのは、前述のとおり「本当は残しておきたいカードを、資金のためにやむなく手放す」というケースでした。
ショップでは一度売ってしまえば、そのカードは二度と戻ってきません。資金を作る代償として、大切なコレクションを失うことになるのです。
だからこそ、トレカショップと質屋の使い分けを知っておくことが、賢い選択といえるでしょう。
「質屋でポケモンカード」が浸透していない理由
質屋といえば「時計・ブランド品・貴金属」を扱う場所というイメージが強いのではないでしょうか。
高価な品物を預けてお金を借りる場所であり、ポケカを持ち込むという発想は、まだ一般的ではありません。
| 不安・ハードル | 詳細 |
| そもそも質屋が怖い | 昔ながらの言葉の響きから、敷居が高い・入りづらいと感じる |
| 騙されそう、安く買い叩かれそう | 仕組みがよくわからず、不利な条件を押し付けられるのでは? |
| 査定員にカードの知識があるか心配 | ブランド品のプロがポケカの価値を正しく評価できるのか疑問 |
| 「売る=トレカショップ」という固定観念 | そもそも質屋という選択肢が頭に浮かばない |
| 質屋の仕組み自体がわからない | 「質預かり」と「買取」の違いなど、基本知識がないと利用しづらい |
正直なところ、こうした不安を抱くのは当然と感じています。
私自身、トレカショップで働いていた頃は「質屋」という選択肢を考えたこともありませんでした。
しかし実際には、大阪・天神橋筋六丁目にある丸宮商店のように、ポケカの価値をしっかり理解している質屋も存在します。
丸宮商店には、私のように元トレカショップ店員が在籍しており、カードの価値だけでなく「手放したくない気持ち」にも寄り添った対応を心がけています。
また、スマートフォンで写真を送るだけで来店前におおよその査定金額がわかるLINE査定も導入しているため「いきなり店舗に行くのは不安」という方でも気軽に相談できます。
こうした仕組みが全国的に広がれば「質屋でポケカを預ける」という選択肢は、今後さらに浸透していくでしょう。
元トレカショップ店員から見た「質屋」の可能性
トレカショップで売却する場合、一度手放したカードは二度と戻ってきません。
いつか買い戻そうと思っていても、同じ状態のカードが市場に出回る保証はなく、値上がりして手が届かなくなることも珍しくありません。
一方、質屋には「質預かり」という独自の仕組みがあります。
質預かりとは、カードを「売る」のではなく「担保として預ける」仕組みであり、所有権はお客様のまま、カードの査定額に応じた金額を借りることができます。
その後、期限内に元金と利息を返済すれば、預けたカードはそのまま手元に戻ります。
もし、返済が難しい場合は「質流れ」となり、カードの所有権が質屋に移りますが、その代わり返済義務もなくなります。
つまり、売却と質預かりの最大の違いは「カードを取り戻せるかどうか」です。
売却は不可逆ですが、質預かりなら一時的な資金調達の手段として、大切なカードを守ることができます。
| トレカショップ(売却) | 質屋(質預かり) | |
| カードの所有権 | 売却時に移転 | 返済すれば戻る |
| 現金化のスピード | 即日 | 即日 |
| カードを取り戻せるか | ✕ 不可 | ◯ 返済すれば可能 |
| 返済義務 | なし | あり(質流れで消滅) |
コレクターにとって「残したいカードを守りながら資金を作れる」というのは、ショップにはない大きなメリットです。
もしあの時、質預かりを知っていたら
冒頭でお話しした、就職準備のためにコレクションを売却した20代のお客様が、もし質預かりという選択肢を知っていたら、どうなっていたでしょうか。
仮に、お持ちのカードの査定額が15万円だったとします。
【トレカショップで売却した場合】
- 15万円を受け取り、カードとは永遠にお別れ
- 就職後にお金の余裕ができても、同じカードは手に入らない可能性が高い
【質屋で質預かりした場合】
- 15万円を借りて、カードは質屋に預ける
- 就職して給料が入ったら、元金+利息(※)を返済
- カードが手元に戻ってくる
※利息は質屋や預け期間によって異なります
もしあの時、質預かりという選択肢を伝えられていたら。
そして就職後の最初のボーナスで返済さえできれば、大切なコレクションを手元に残せたかもしれません。
質屋に向いているカード・向いていないカード
ただし、すべてのポケカが質屋で取り扱えるというわけではありません。
カードの価格帯によって、ショップと質屋を使い分けるのが賢い方法です。
トレカショップ向きのカード
- 価値が1,000円以下の汎用カード
- 枚数を集めてこそ意味があるカード(デッキ構築用の定番カードなど)
ショップは流通量が多く、こうしたカードをまとめて買い取る仕組みが整っています。
少額のカードや大量のカードを効率よく現金化したい場合は、ショップでの売却が適しています。
質屋向きのカード
- 5,000円〜20,000円程度の価値を持つカード
- コレクション性の高いカード
この価格帯は「売るには惜しいが、資金化するには十分な価値がある」という絶妙なラインです。
思い入れのあるレアカードや、今後さらに値上がりする可能性のあるカードは、質預かりで一時的に資金化し、後から取り戻すという選択ができます。
質屋を利用する4つのメリット
質屋でポケカと聞くと、まだピンとこない方も多いかもしれません。
私自身、トレカショップで働いていた頃は「売る」以外の提案ができませんでした。
しかし今、質屋という選択肢を知った立場から振り返ると、質屋を利用するメリットは明確です。
1. 返済すればポケモンカードが戻ってくる
ショップでは一度売れば戻ってきませんが、質屋の質預かりなら返済すればカードが手元に戻ります。
返済することができるのであれば「資金化してもコレクションを失わない」という安心感は、コレクターにとって非常に大きいです。
2. ポケモンカードが「資産」として扱われる
質屋ではカードを「担保」として評価するため、安定した価値が見込めます。
相場変動に左右されやすいショップ査定とは異なり、将来性を見据えた一定の基準で評価されるのも安心材料です。
3.価格帯による使い分けができる
取り戻しやすい1,000円以下の汎用カードはショップで売却し、コレクション性の高い5,000円〜20,000円程度のカードは質屋に預ける。
こうした使い分けで「効率的な現金化」と「コレクション維持」を両立できます。
4. LINE査定で心理的ハードルが下がる
丸宮商店ではLINE査定を導入しているため、スマートフォンでカードの写真を送るだけで、来店前におおよその査定金額がわかります。
また「いきなり店舗に行くのは不安」という方でも、まずはLINEで気軽に相談できるのは大きなメリットです。
まとめ:ポケモンカードの資金化は「ショップ」と「質屋」の使い分けがカギ
質屋でポケモンカードを取り扱うことは、まだ広く浸透していません。
しかし、元トレカショップ店員の視点から見ても、質屋は「残したいカードを守りながら資金化できる」新しい選択肢です。
| カードの種類 | おすすめの売却先 |
| 1,000円以下の汎用カード | トレカショップ |
| デッキ構築用の定番カード | トレカショップ |
| 5,000円〜20,000円程度のレアカード | 質屋(質預かり) |
| 思い入れのあるコレクション | 質屋(質預かり) |
これから「低価格帯はショップ、高価格帯は質屋」という使い分けが、今後のポケモンカード資金化の新しいスタンダードになっていくでしょう。
